東京の受動喫煙防止条例で地方の危機がさらに広がっていく理由

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6月27日、ついに東京都が英断を下しました。受動喫煙防止条例です。今回可決し、成立した条例は、生ぬるい国のものとはまったく違い、「ごくごく、当たり前のもの」となっています。早速中身を整理してみましょう。

大きな違いは飲食店と学校(保育園等含む)

国の方針は「客席面積100平方メートル以下で、資本金5000万円以下の既存店は喫煙OK」ということなので、ほとんどの飲食店は喫煙OKということになるでしょう。だって、資本金5000万円なんて規模、そうそうあるもんじゃないですからね。

ところが、東京都で決定した案は「従業員を雇っている場合は原則禁煙!」と、なんと歯切れのよいこと。オーナーが自分で他人が吐き出した煙を胸いっぱいに吸い込むならOKだが、雇用した従業員には吸い込ませるな! と強いメッセージを出したのです。全面禁煙ですよ。

一応、専用喫煙室の設置を容認していますが、都内の飲食店の84%がこの規制対象にあたるようです。今まで、完全禁煙かどうか調べなくても入れるお店は、行列ができる系のラーメン屋くらいなものでしたが、これからはタバコの煙を気にせずにお酒が飲めるんですね! 感激です。

参考までに、東京都の資料を添付しました。

また、学校系に関しても同様です。

「お前ら未成年だからタバコはダメ」と言っておきながら教員は吸うという、矛盾に満ちた光景はもう過去のものになります。なぜなら、敷地内は禁煙で、しかも屋外の喫煙所設置もNGだからです。

ちなみに路上喫煙禁止はどうなっているか

全域で禁煙は千代田区のみです。数年前の話ですが、秋葉原(意外と秋葉原も千代田区です)やスノーボードを売っている店が密集しているエリアは路上喫煙が日常的に行われていました。そんなひどいエリアは今どうなっているのでしょうか。

一部で禁煙は、品川区、大田区、杉並区、足立区、町田市、八王子市、青梅市、羽村市、東村山市、清瀬市、小金井市、府中市となっています。

品川区

  • 五反田駅周辺
  • 青物横丁駅周辺
  • 大井町駅周辺
  • 武蔵小山駅周辺
  • 大崎駅周辺

大田区

  • JR蒲田駅東西口の駅前広場

杉並区

  • 上井草駅周辺
  • 高井戸駅周辺
  • 西荻窪駅周辺
  • 荻窪駅周辺
  • 阿佐ケ谷駅周辺
  • 高円寺駅周辺

足立区

  • 北千住駅周辺
  • 綾瀬駅周辺
  • 西新井駅周辺
  • 竹ノ塚駅周辺
  • 五反野駅周辺
  • 梅島駅周辺

町田市

  • 町田駅周辺
  • 鶴川駅周辺
  • 成瀬駅周辺

八王子市

  • 八王子駅周辺
  • 西八王子駅周辺
  • 高尾駅周辺
  • 南大沢駅周辺
  • 八王子みなみ野駅周辺
  • 京王堀之内駅周辺

青梅市

  • 青梅駅周辺
  • 東青梅駅周辺
  • 河辺駅周辺

羽村市

  • 羽村駅周辺
  • 小作駅周辺

東村山市

  • 禁止地区/秋津・新秋津駅周辺
  • 防止推進地区/東村山駅周辺久米川駅周辺

※禁止地区と防止推進地区があるようです

清瀬市

  • 清瀬駅周辺
  • 秋津駅周辺

小金井市

  • 武蔵小金井駅周辺
  • 東小金井駅周辺
  • 新小金井駅周辺

府中市

  • 府中駅周辺
  • 分倍河原駅周辺
  • 府中本町駅周辺
  • 中河原駅周辺
  • 東府中駅周辺

福生市は明確な禁止区域がないとされていましたが、同市のホームページでは設定されていました。

福生駅周辺

  • 東福生駅周辺
  • 牛浜駅周辺
  • 熊川駅周辺

千代田区以外の区域は、まだ駅周辺にとどまっていますが、これも時間の問題。じわじわと禁煙エリアは領土を広げていき、喫煙者は化石となっていくのでしょう。

東京という街が魅力的になると地方はどんどん廃れていく

僕が東京出身だからという偏見なしにしても、東京は非常に便利にできている街です。そしてそれなりの魅力もあります。そこに国民のマジョリティである非喫煙者にとって、東京はさらに住みやすい街になっていくことはイメージしやすいと思います。

飲食店が実質禁煙となると、そこで働きたい人が増えるかもしれない。ということは、当然その人たちは東京に住んでいる人だけではないのです。地方からの上京組が増え、便利で魅力的な街に移り住みます。住民票が東京に移れば… 当たり前ですが、地方の税収は減ることになりますね。

しかも、ただでさえ取り合いになっている労働力が根こそぎ東京に奪われることになり、店舗拡大を目指している地方の飲食店は、早々にその夢が砕かれるかもしれません。地方の飲食店が完全禁煙化という英断を下すと、間違いなく英雄になれるだけでなく労働力も確保できる可能性が高まるのです。

念のため、地方の禁煙対策を調べてみました

北海道

2012年3月に北海道がん対策推進条例を制定し、事業者に対し管理する施設内での受動喫煙防止の努力義務を課した。

青森県

2001年1月に策定した「健康あおもり21」に基づき、受動喫煙防止対策の実施がされていない施設を中心に喫煙防止対策を推進している。

秋田県

2004年3月に秋田県健康づくり推進条例を制定し、県が多数の者が利用する施設の設置者に対する受動喫煙防止措置の勧奨と、県民への受動喫煙防止の啓発活動を定めた。

神奈川県

神奈川県は2010年4月1日、受動喫煙を罰則をもって規制する都道府県条例として初となる、神奈川県公共的施設における受動喫煙防止条例を施行した(受動喫煙対策を規定した条例は秋田県が先)。

静岡県

静岡県では受動喫煙防止条例の実現を約束した川勝平太が平成21年(2009年)に静岡県知事となった。

愛知県

健康増進法を受けて策定した「愛知県立施設受動喫煙防止対策推進計画」により、2007年に全ての県立施設の禁煙または分煙が完了した。2010年に飲食店禁煙化のための「禁煙飲食店普及モデル事業」を実施した。

京都府

受動喫煙防止条例の制定を明言し、条例制定に向けて2012年に「京都府受動喫煙防止憲章」を策定した。

滋賀県

2004年から「滋賀県たばこ対策推進会議」を開始し、健康影響の啓発、未成年喫煙防止、非喫煙者保護(受動喫煙防止)、禁煙支援を柱として対策を推進している。

大阪府

大阪府は「大阪府健康増進計画」「大阪府がん対策推進計画」に基づいて受動喫煙や禁煙に取り組み、2012年度までに少なくとも建物内での100%禁煙化を目指している

兵庫県

受動喫煙の防止等に関する条例を2012年3月21日に公布し、2013年4月1日から条例が施行されている。

広島県

2002年に策定された「健康ひろしま21」には禁煙・分煙・喫煙予防教育が盛り込まれ、県内の医療保健関係組織はその積極的な推進のために広島県禁煙活動ネットワークを設立し、県とともに喫煙防止の啓発等を行っている。

香川県

2001年に策定した「健やか香川21ヘルスプラン」の、喫煙に関する重点目標は「きれいな空気が吸える環境をつくろう」というものであり、喫煙による健康障害の減少等が実践の指針となった。健やか香川21県民会議は、2007年に「受動喫煙防止のためのガイドライン」を策定した。

大分県

2004年から、ポイ捨て防止の観点から歩行喫煙は「慎む」ことになっている。

沖縄県

2002年に「健康おきなわ2010」を策定し、タバコ消費量の削減や受動喫煙の害の削減等の禁煙推進に取り組んでいる。

実際に動いている自治体はもっとあるのかもしれませんが、いずれも努力義務のようなものばかりです。しかし、東京の英断を機にどんどん改善されていくことでしょう。

東京がグイグイ禁煙都市になっていくことで、地方都市との差別化が図られてどんどんその溝が深まっていく。メガ都市 vs スモール都市の戦いでもあるのです。