約1世紀も音楽シーンを支えたギブソンが倒産した理由をざっくり考えた

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ガンズアンドローゼズのスラッシュ、ACDCのアンガスヤング、レッドツェッペリンのジミー・ペイジ、BBキング、レニー・クラヴィッツ、日本だとB’zの松本さんなど、挙げればきりがないくらいの「ギブソンの使い手たち」。

SGモデル。レスポールより軽く、僕も大好きな形。

これはほんの一部で、ベーシストも個性的な人たちは「イエローモンキーの広瀬さんといえば、サンダーバード」といった具合に、こだわりのある楽器のフォルムが思い浮かんできます。それがギブソンという魅力的なブランドなのだ! しかし、倒産だなんて悲しいです(日本でいうと民事再生なので、完全にブランドがなくなったわけではありませんが、なんかさみしいです)。5月1日のことでございました。

エクスプローラーモデル。U2初期のThe EDGEがこれを使っていましたね。

売上不調の要因は、やっぱり音楽シーンの変遷でしょうね

僕個人の話になりますが、音楽が大好きで自分でも作っていました。1990年前半くらいまでは「音楽はプロだけが作れるもの」でしたが、後半になって歴史に残るような重大な出来事によって「音楽はアマチュアも作曲を楽しめるもの」に変わったのだと推察しました。その出来事とは、

iMac というコンシューマー向けパソコンが

お求めやすい値段で発表され、メチャクチャ流行った!

ことではないでしょうか。

今では安くて高性能なパソコンが手に入るのは当たり前のことですが、ちょうど20年位前は大したスペックでもないパソコンが40万円くらいもしました。そんな中、iMac初期型のお値段はなんと約18万円!! 半値以下ですよ。

現在のApple製品の人気は、この初代iMacがきっかけと言って良いでしょう。

しかも、半透明で流線型のボディーは、それまで世の中に出ていたパソコン本体のイメージの常識を覆し、一気にお茶の間デビューを果たしたのです。

話が少し脱線しましたが、当時からMacを使っている奴ら=クリエイター のようなイメージがありましたので、当然音楽をしている人たちにも浸透しました。でも、今のようにパソコンだけでシーケンスを組み音源を録音するなんてことは、当時はできませんでした。

音源は鍵盤付きのシンセや鍵盤がついていないハコモノシンセ(ラックシンセ)を使い、ギターやベース、ボーカルなどはサウンドカードもしくはオーディオインターフェースという機材につないでパソコンの中に取り込むか、外付けのハードディスクまたは専用の録音機につないで記録を取っていたのです。

鍵盤が付いてないシンセの一例。

ではパソコンはどんな役割だったのか。それはシーケンサーと打ち込みです。昔はパソコンの画面のように視認性の良い環境で打ち込み(楽譜を書くような作業)ができなかったので、それができるだけでもメッチャクチャかっこよかったのです。今はノートパソコンとソフトさえあれば簡単な曲はすぐに作れちゃいますが、昔はいろんな機材に囲まれて一曲を作ることがステータスでした〜(懐かしい…)。

ロックは相変わらず人気だが、それ以上にクラブミュージックが台頭

昔は大型機材を必要としていた音楽制作。これはロックやポップミュージックに限ったことではなく、クラブでDJをするような人たちにとってもテクノロジーの向上はその恩恵をもたらしてくれました。パフォーマンスにギターなどの楽器を使わないDJたちの世界は、夜のクラブシーンから抜け出し、太陽がまぶしい真っ昼間のスタジアムやアリーナで数万人を踊らせるようなULTRAのようなイベントに姿を変えたのです。ロックでいうとウッドストックやグラストンベリー、フジロックなどですね。

音楽はその時代の若者たちの嗜好が大きい力となります。今や有名DJは有名サッカー選手と同じような豪邸に住める時代。スウェーデンのDJアヴィーチはこんな豪邸に住んでいる(住んでいた)そうです。ということは、ギターロックはだんだんとマイノリティーになってしまったのかのかもしれません…。

※DJ Avicii(アヴィーチ)は2018年の4月20日に亡くなったそうです。一説によると自殺だとか。心よりご冥福をお祈りいたします

ギブソンもいろんな新製品を出して頑張っていた

僕も最近は楽器から離れてしまい、新製品を目にする機会も少なくなりました。たぶん僕のような人が増えていることもあってギターやベースが売れなくなったのだろうと思いますが、ちょっと前にチラッと楽器のネット通販サイトを見たときに「あれ?」と思ったことがありました。

我々の世代ですとギブソンは「なかなか手の届かない、結構お値段が張る憧れのブランド」だったはずですが、誰でも買えちゃうようなエントリークラスのものや、チューニングを内蔵マシンでやってしまうような機構まで付いているようなモデルが出ていました。

ヘッド裏に取り付けられたチューナー。自動的にペグ(弦巻き)が動くらしい。

楽器に対して思うことは演奏者それぞれですが、おそらく「古き良き、アナログならではの不便さ」もユーザーがギターに求めていることだったのではないかと思います。たしかにチューニングは演奏者にとって悩みのタネなんですが、やりすぎるとつまらないもの(もはやイメージしていた憧れの楽器ではないもの)になってしまって、それまでのギブソンファンも離れていったのではないかと思いました。あと、ファンが求めていない機能の開発にお金を使ってしまったとか、です。

楽器に限らず、どんな商材もサービスも常にエンドユーザーが求めていることに耳を傾ける努力をしなければならないことを教えてくれたニュースでした。